ブラスバンド! 〜青春は吹奏楽部で〜

第5章 運命の出会い

 曲がり角で誰かとぶつかりそうになるってまるで漫画とかで見るような「恋のはじまり」みたいな感じなんだけど……!?
 違う、違う。落ち着け私……!
「先輩! だ、大丈夫です……」
「なら良かった……ごめんね、優夢さん」
 あの後陸斗さんとはそのまま別れたけど……まだ心臓がバクバクしてる。自分の顔が赤くなっているのもわかる。もしも今ここに美空ちゃんがいたら確実に茶化されていただろう。美空ちゃんって、話してて親しみやすいんだけどちょっと口が滑りやすくて……そういう性格、イヤではないけどちょっと思うことがあるというか……
 そういえば陸斗さんは私のことどう思ってるんだろう? 陸斗さんには好きな人とかいるのかな? ……気になることがいっぱいありすぎる。
 陸斗さんに好きな人がいるならこの話はもう終わらせられるけど、もしも好きな人がいなかったら? この話はまだまだ続くだろう。どうにかして聞き出したいけどどうしよう? そういえば、穂香ちゃんなら何か知ってるのかな? 穂香ちゃんから間接的に聞くのは良い作戦かも。確か明日はまた陸斗さんは用事で部活はお休みって言ってたから明日早速聞いてみようかな……


 翌日。部活の時間になって部室に行くと穂香ちゃんはもう来ていた。
「先輩!」
 思い切って聞いてみることにした私は穂香ちゃんに声をかけた。
「うん? 優夢ちゃん、どうしたの?」
「えっと、陸斗先輩って……あの、彼女とか……いるん、ですかね……?」
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