婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 町には共同浴場があって、町の人たちはそこに行くようだ。この辺りにも、少し離れた場所に共同浴場がある。
 けれど元日本人としては、毎日のお風呂は必須で、できるならひとりでゆっくり入りたい。
 だから物置だった部屋を、クロエの魔法で浴室にしてある。
(我ながらチートよね)
 部屋の壁と床を防水加工して大きな浴槽を設置し、排水溝まで作ったのだ。そのときは魔力を使いすぎて倒れそうになって、エーリヒにはそこまでするのか、と少し呆れられたものだ。
 着替えを用意してから浴槽に水を溜め、魔法で適温にした。
「うん、気持ちいい……」
 髪と身体を洗ってからゆっくりと浴槽に浸かる。
 すっかり体調も良くなったようだ。
 髪を魔法で乾かしてから部屋に戻ると、スープの良い匂いがした。
 そういえば昨日の夜から何も食べていない。
 お腹がすいていることを思い出して、ふらりとキッチンに向かう。
 するとクロエがお風呂に入っている間に起きて、買い物に行ってきたらしいエーリヒの姿があった。
 机の上にはサンドイッチと、野菜スープが置いてある。
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