婚約破棄されたので、好きにすることにした。
しかも近年は非公式の移民も多く、治安が悪化していると、侍女たちが噂をしていた。
(いずれこの国を出るとしても、当分の間は相棒が必要ね。女性を卑下していなくて、ある程度腕が立つ。そんな男の人がどこかに落ちていないかしら……)
そんなことを考えながら歩くクロエに、背後から声を掛けた者がいた。
「どこに行くのですか、クロエお嬢様」
「……えっ」
びくりと身体を震わせて振り返ると、そこにはひとりの男性が立っていた。
美しい銀髪に、サファイアのような透明な青色の瞳。
すらりとした長身に、白い騎士服を身に纏っている。
「……エーリヒ」
彼は昔、騎士団長である父の配下で、見習い騎士として屋敷にいたことがある。
冷たく見えるほどの美貌と見事な剣の腕で王女殿下に気に入られ、今は近衛騎士に出世している。
彼はやや年下のクロエを、お嬢様と呼んでいた。
「お嬢様が魔法を使えたなんて、驚きました。今までよく隠していましたね」
「お父様に言われて、私を連れ戻しにきたの?」
いくら魔法が使えても、誰にも教わったことのない素人の魔法だ。
(いずれこの国を出るとしても、当分の間は相棒が必要ね。女性を卑下していなくて、ある程度腕が立つ。そんな男の人がどこかに落ちていないかしら……)
そんなことを考えながら歩くクロエに、背後から声を掛けた者がいた。
「どこに行くのですか、クロエお嬢様」
「……えっ」
びくりと身体を震わせて振り返ると、そこにはひとりの男性が立っていた。
美しい銀髪に、サファイアのような透明な青色の瞳。
すらりとした長身に、白い騎士服を身に纏っている。
「……エーリヒ」
彼は昔、騎士団長である父の配下で、見習い騎士として屋敷にいたことがある。
冷たく見えるほどの美貌と見事な剣の腕で王女殿下に気に入られ、今は近衛騎士に出世している。
彼はやや年下のクロエを、お嬢様と呼んでいた。
「お嬢様が魔法を使えたなんて、驚きました。今までよく隠していましたね」
「お父様に言われて、私を連れ戻しにきたの?」
いくら魔法が使えても、誰にも教わったことのない素人の魔法だ。