婚約破棄されたので、好きにすることにした。
あの父が称賛するほどの剣の使い手であるエーリヒに、敵うとは思えない。
(でも、あの屋敷に戻るのは絶対に嫌。私は自由に生きたいの)
覚悟を決めて身構えるクロエに、エーリヒはあっさりと首を振る。
「違いますよ。俺はもう近衛騎士ですから、団長の命令を聞く理由はありません」
「え?」
あっさりとそう言う彼に、クロエは疑いの目を向ける。
「じゃあ、どうして私を追ってきたの?」
「お嬢様がキリフ王子殿下に婚約を解消されて、急いで逃げ出すところを目撃しまして。便乗させていただこうかな、と思って後を付けました」
「び、便乗?」
「はい。俺も王女殿下から逃げ出したいと思っていましたので。ずっと監視が厳しくて逃げ出せなかったのですが、お嬢様の魔法のお陰で助かりました」
氷の騎士と称されるほどの冷たい美貌が、にこりと人懐っこい笑みを浮かべる。あの監視魔法はクロエを見張っていたものではなく、彼に掛けられていたようだ。
「あ、この服装は目立ちますね。着替えますのでお待ちください」
そう言うと彼は、クロエの目の前で着替えをしだした。あまりのことに呆然として、思わず凝視してしまう。
(でも、あの屋敷に戻るのは絶対に嫌。私は自由に生きたいの)
覚悟を決めて身構えるクロエに、エーリヒはあっさりと首を振る。
「違いますよ。俺はもう近衛騎士ですから、団長の命令を聞く理由はありません」
「え?」
あっさりとそう言う彼に、クロエは疑いの目を向ける。
「じゃあ、どうして私を追ってきたの?」
「お嬢様がキリフ王子殿下に婚約を解消されて、急いで逃げ出すところを目撃しまして。便乗させていただこうかな、と思って後を付けました」
「び、便乗?」
「はい。俺も王女殿下から逃げ出したいと思っていましたので。ずっと監視が厳しくて逃げ出せなかったのですが、お嬢様の魔法のお陰で助かりました」
氷の騎士と称されるほどの冷たい美貌が、にこりと人懐っこい笑みを浮かべる。あの監視魔法はクロエを見張っていたものではなく、彼に掛けられていたようだ。
「あ、この服装は目立ちますね。着替えますのでお待ちください」
そう言うと彼は、クロエの目の前で着替えをしだした。あまりのことに呆然として、思わず凝視してしまう。