婚約破棄されたので、好きにすることにした。
「了解。なるべく狭くて、寝室がひとつしかないような家を探さないと。ああ、もちろん予算の関係だ。これからどうなるかわからないのに、無駄に広い部屋を借りて、資金を無駄にするわけにはいかない」
「え、うん」
 たしかに長期戦になるかもしれないことを考えると、低予算のほうがいい。思わず頷いたクロエに、エーリヒはさわやかに笑う。
 彼はこれから、物件を探してみると言った。
「王都の警備についても、少し探ってみる。クロエは、城門には絶対に近寄らないように」
「わかったわ。気を付けてね」 
 何だか押し切られたような気がするが、エーリヒに任せておいたほうが安全だろう。
 彼を見送ったあと、クロエはそっと自らの髪に触れる。
 色素の薄い金色の髪。
 ずっと、この髪が嫌いだった。
 兄のような輝く金髪か、エーリヒのような煌く銀髪が羨ましかった。
(……綺麗、かぁ)
 でもエーリヒがそう言うのなら、自分が思っていたよりひどくはないのかもしれない。
 クロエは自らの髪に触れて、少しだけ微笑んだ。


幕間 クロエの婚約者、キリフの苛立ち

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