婚約破棄されたので、好きにすることにした。
 でもエーリヒに言われて、クロエには理解する必要がないことに気が付いたのだ。
 魔法は、その仕組みを理解しなければ使えるようにならない。
 でもクロエは魔女だ。
 どんな魔法があるか知りさえすれば、理解しなくても願っただけでそれを使えるようになる。
 だから魔法書は不要であり、魔法図鑑があれば充分なのだ。
「やっぱり転移魔法って便利そうよね。うーん、使えるようになりたいけど……」
 理解する必要がない代わりに、使えるようになるには、実地訓練あるのみである。
 でもさすがに、失敗したらどこに飛ばされるのかわからない魔法の練習は、少し怖い。
(エーリヒが一緒にいるときに、練習しようかな?)
 ふたり一緒に飛ばされるのなら、まだ何とかなりそうだ。
(あとは……。空を飛べる魔法もあるのね。これもやってみたいわね)
 でも失敗して地面に落ちてしまったら、それも大変なことになってしまう。いくら理解する必要がないとはいえ、最初は初期魔法を地道に練習するしかなさそうだ。
(うーん、残念。でも、高価な魔法書を買わずに魔法を使えるのは、いいわね)
 夢中になっているうちに、いつのまにか太陽が傾いていた。
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