ヒスイのさがしもの



「気になるかい?」


 突然肩に手を置かれて、びっくりして思わず体が跳ねた。振り向くと、ウツギさんがいた。後ろに立たれると、かなりの長身で威圧感がある。


「はっ、はい……あの、トウマはどうして呪いなんかを集めてるんですか?」

「あれはね、私が頼んでいるんだよ」


 確かにウツギさんは、回収した呪いを出すようトウマに促していたっけ。……集めているのがウツギさんだとしても、私の疑問は大きく変わらない。

 ウツギさんはどうして、呪いなんかを集めてるんだろう。その問いを声に出さずとも、ウツギさんは私の気持ちをわかっているみたいだった。


「ーー呪いなんて、ない方がいいだろう? だから私は呪いを集めて浄化しているんだ」


 ……なるほど。神様ともなればそんなことができるんだ。


「ここにあるのも、呪いの根源ーーとかいう物ですか?」

「いいや。トウマの私物だよ」

「トウマの……?」


 目をこらすと、小学生の頃に使っていたようなノートや筆記用具、ぼろぼろの小さなスニーカーなど、トウマの物にしては幼い印象を受ける物ばかりだ。


「気になるなら、手に取って見ればいい」


 ……気になるのは、気になるけど。ウツギさんに言われたって、トウマがいないのに勝手に漁るのは気が引ける。

 が、ふと、ペンケースからこぼれ落ちている消しゴムが目についた。使いかけのそれは、厚紙のケースからなにかが覗いている。


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