ヒスイのさがしもの
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しばらくの間ひとりでぐるぐると思考を巡らせていると、葉っぱを踏みしめる音が聞こえた。音の方を見ると、トウマが帰ってきたみたいだった。
「あ、おかえりなさーー」
言いかけて、言葉に詰まる。トウマの左手が、ぼろぼろになっていたからだ。肘から下の服が破れ、擦れたような傷からは血が滲んでいる。
「そっ、それ、どうしたの!? い、痛い? よね? どうしよう……っ」
「大丈夫だから、落ち着け」
落ち着けと言われても無理だ。逆になんでトウマはそんなに落ち着いているのか知りたいくらい。
「と、とりあえず、洗う? あっ、でも水が……小川の水って綺麗なのかな……」
「いいって。ウツギサンが起きたら治してもらえる」
「でもそれまで痛いんじゃ……」
「ーー少しは俺の言うことを聞け。平気なものは平気だから放っておいてくれ」
「ご、ごめん」
呆れたようにため息をついて、トウマは部屋の端っこに腰かけた。……けど放っておけと言われても、そういうわけにもいかない。
私はトウマの横に座り、トウマの傷ついた左手にそっと自分の手を当てた。
「おい……」
「あっ、あのね! 手当てって、手を当てるから手当てなんだって。こうしてるだけでも少しは痛みが和らぐってーー」
必死に説明をするも、トウマはじとりと私を見て、それは不服の意を表しているように思えた。