ヒスイのさがしもの
「ごめん……迷惑だったよね」
私は手を引っ込めようとしたがーーその手をトウマに掴まれた。
「……そうは言ってない。好きにしろ」
「う、うん!」
私の気持ちを汲んでくれたのか、本当に迷惑じゃないのか、トウマの本心はわからない。けれどトウマの言葉に甘えて、私はトウマの腕にまた手のひらを置いた。
……私のやっていることが本当にトウマのためなのか、わからない。本当は自分のためかもしれない。でも私は、そういう風にしていないと、ダメな気がしてしまうんだ。
私はなんにもできない。せめて他人のために何かしていないといけない。そうしていないとーー……そうしていないと、なんだろう。
その続きは自分でもわからない。はっきりとはわからないけれど……きっと、誰からも愛してもらえない、そんな気がしてしまうんだ。
トウマと二人きりの沈黙は少しだけ気まずくて、視線をどこに向かわせればいいかわからない。しばし視線を泳がせた先に、トウマの私物の山があった。
……そうだ、トウマに聞かなくちゃ。消しゴムに描かれたマークのこと。
「あのさ、私のヘアピンのこと、いつから知ってたの?」