前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ
「わたしですか?」
「そうだ。さっきの話の続きではないが、母上や他の貴族が言っていたぞ。あなたが奉仕活動に熱心に取り組んでいること。あなたもまた、貧しい者たちや恵まれない子たちの力になりたいと思っているんじゃないか?」
「わたしは……罪滅ぼしのようなものです」

 決してテオバルトのように崇高な目的があるわけではない。

「俺だって初めから平和を意識していたわけじゃない。あなたを探すことが第一な目標だったしな。だが、実際にいろんな国を見て回って、ちょっとした出来事で諍いが起きたり、打ち解けることができるのを体験して、俺にもできることがあるんだと実感し始めたんだ」

 あなたもそうなんじゃないか? と問われ、ルティアは孤児院の子どもたちを思い出した。

 みな最初はルティアを警戒し、乱暴な振る舞いや攻撃的な言葉を投げかけてくる子もいた。ルティアもそんな子たちと接するのが大変で、前世の記憶がなければ来るのをやめていただろう。でも根気よく続けていくうちに次第に子どもたちもルティアの存在に慣れ、心を開いてくれるようになった。

(あの時は、嬉しかったな……)

 テオバルトと同じ、自分にもできることがあると自信が持てた。そしてもっと子どもたちのために何かをしたいと思うようになった。

「あなたは以前、自分を幸せになってはいけない人間だと言ったな? それはつまり、何かしら自分の中に罪を感じているからだろう」
「……はい」
「昔の高貴な女性は、修道院へ行き、そこで慎ましやかに過ごしながら、神へ懺悔したのだな。それが罰であり、償いであると。――だが、別の道もあるんじゃないか?」

(別の道……)

「それは……どんな?」
「簡単だ。結婚して、家庭を築く傍らで、今までのように奉仕活動に勤しむんだ」

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