前世わたしを殺した男は、生まれ変わっても愛を捧ぐ

5、王妃のお茶会

「ねぇ、ルティア。今度の週末、王宮で開かれる王妃殿下のお茶会に参加しない?」

 奉仕活動ばかりに勤しむ娘を心配してか、ある日母にそう提案された。

「王妃殿下の?」
「そう。とっても有意義な時間になるはずよ」
「そうね……わかったわ」

 本音を言うと気が進まなかったが、母の気持ちを蔑ろにしたくはなかったので、ルティアは参加することにした。

「よかった! じゃあ王妃殿下に出席することを伝えておくわね! あぁ、ドレスやアクセサリーも何にするか、今から決めておかないと!」

 母が少女のようにはしゃいで喜ぶので、ルティアもたまには出席するのもいいかもしれないと思った。

 そして当日。メイドたちも張り切ってルティアを着飾った。

「姉さま、とってもきれい!」

 出来栄えを見に来た妹のファニーに興奮した様子で褒められても、ルティアは困った顔をした。

「少し派手じゃないかしら」

 プラチナブロンドの髪をうなじが見える形で結い上げ、レースやフリルがたっぷりとついた明るい水色のドレスに首元を飾る眩い宝石のネックレス。華やかすぎるような、派手すぎるような気がして、不相応ではないかと不安になる。

「あら! 王妃様からのお誘いよ? うんと素敵な格好をしていかなければ失礼というものよ」
「そうよお姉さま! 女同士の集まりは戦場なのよ!」
「奥様とファニーお嬢様のおっしゃるとおりです! お嬢様の美しさをこれでもかと前面に出した完全防備の状態で出席するべきです!」

 母の言葉に妹だけでなく、メイドたちも大いに頷く。
 ルティアに反対する余地はなく、彼女たちの言う通りにするしかないようだった。
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