身代わり婚約者との愛され結婚

14.カウントダウンは見ないふりして

 ちゅ、ちゅと何度か軽く重ねた唇を先に開いたのは私だった。

 彼の膝の上に座っているため、まるで私がレヴィンを押し倒そうとしているように覆い被さり唇を食む。

 自身の唇で彼の下唇を挟んでいると、私の頬を撫でていた彼の手のひらがそっと後頭部に回されて――


「んんっ!」

 頭を固定された私とは対照に角度を変えたレヴィンの舌が私の口内にぬるりと入り込んだ。

「あっ、はぁ……ん」

 ぴちゃぴちゃと水音を溢れさせながら口付けがどんどん深くなる。
 レヴィンの熱い舌が私の口内で蠢き、歯列をなぞられるとぞくりとし、体が熱くなった。


 こんなに熱いのにもっと彼の熱が感じたくて堪らず、両腕を彼の首に回し抱き締めると体がピトリと密着する。

 私の腰を固定していた彼の左腕はいつの間にか外され、私の太股を撫でた。

「……!」

 遠駆けの予定だった為、私の服装は紺色のジャケットと淡い水色のシャツ、そして薄い白い乗馬用のタイトなキュロット。

 足にぴったりと張り付くようなタイトなキュロットは、例え服の上からでも触れられればその刺激をダイレクトに私へと伝えた。
 
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