身代わり婚約者との愛され結婚
“本当にしょうもない男”

 こんな彼だからだろうか。


“少しは罪悪感が芽生えるかと思ったけれど”

 熱に浮かされるように、これは夢だと言い聞かせて本物の婚約者ではないことを理解しながらも体を触れることを受け入れた私。

 最後まで繋げはしなかったが、その一時だけは少なくとも別の男性と心を通わせたのだ。

 次ベネディクトと会ったら、てっきり罪悪感や気まずさを覚えるかと思ったのだが。

 
“都合と条件だけで選んだんだもの。感情なんて芽生えるわけはなかったわね” 

 そしてそれは、きっと互いに、だと思った。
 


「それで、今日は突然どうしたのかしら」

 アポイントもなしに突撃してきたのだ。
 それ相応の理由があるんでしょうね、という圧力も足しながら冷たくそう口にするが、ベネディクトは相変わらずの飄々とした様子で口を開いた。


「そろそろ結婚しようかと思ってね」
「…………はぁ?」

“結婚……?”

 そのあまりにも突拍子のない発言に唖然としていると、そんな私を可笑しそうにベネディクトが笑う。

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