身代わり婚約者との愛され結婚
 目の前に佇み柔らかい笑みを向けるレヴィンは、あの真っ白な顔色から想像できないが頬にうっすらと朱を差していて。
 

「……素敵。今日の花束は何の花なの?」
「スターチスの花束です」

 貰った花を潰さないようにそっと抱き締める。
 小粒な花が何個も連なったような可愛いスターチスの花。

 ピンクや紫のスターチスで作られた花束だが、差し色になっている黄色のスターチスが特に可愛らしく映った。


 後でハンナにこっそり花言葉を聞いてみよう、と思った私だったが、すぐに答えを知るのもなんだか勿体ない気がして。


“やっぱり、花言葉の本を用意して貰おうかしら”

 寝る前にベッドでこっそり答えを知るのもいいかもしれない。

 そうすればきっと、幸せな気持ちで今日を終えられる。

「ティナ、お疲れですか?」
「え?」

 心配そうに顔を覗き込まれてドキリとする。

“そんなに顔に出てたかしら”

 確かにここ最近はベネディクトの事で頭を悩まし寝不足気味だった。

 だからこそ、寝る前に少しでも楽しみを増やそうと思った私は花言葉を自ら調べることにしたのだが。


「もしそうなら、今日は――」
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