身代わり婚約者との愛され結婚
「で、ではそれを理由に婚約破棄が出来るのでは?」
私の呟きを聞いていたハンナがぱあっと表情を明るくさせるが、対照に報告書を持ってきてくれたジョバルサンの表情は固いまま。
――それも、そのはず。
「婚約破棄は、出来ないわ」
「ど、どうしてですか!? だって……!」
「理由は簡単よ。この程度じゃ、痛くないの」
他にも何か書いていないかと何度も捲ってみるが、書いてあるのはどこどこの娼婦がお気に入りだとか、入り浸っているカジノで出会った令嬢と繁華街に消えただとか。
“げっ、未亡人とも関係を持ってるの……!?”
ベネディクトの守備範囲の広さに目眩がするが、それでも。
「どれも婚約破棄するほどではないわ」
はぁ、とため息を吐く。
「婚約破棄するほど、です。私たちはお嬢様の幸せが一番なのですから」
必死にそう言ってくれるハンナに嬉しくなりつつ、それでも私はゆっくりと首を左右に振った。
「この国では、結婚まで純潔であるべきだという女性側に対し男性側はむしろある程度の知識と経験は持っておくべきという風潮すらあるの」
私の呟きを聞いていたハンナがぱあっと表情を明るくさせるが、対照に報告書を持ってきてくれたジョバルサンの表情は固いまま。
――それも、そのはず。
「婚約破棄は、出来ないわ」
「ど、どうしてですか!? だって……!」
「理由は簡単よ。この程度じゃ、痛くないの」
他にも何か書いていないかと何度も捲ってみるが、書いてあるのはどこどこの娼婦がお気に入りだとか、入り浸っているカジノで出会った令嬢と繁華街に消えただとか。
“げっ、未亡人とも関係を持ってるの……!?”
ベネディクトの守備範囲の広さに目眩がするが、それでも。
「どれも婚約破棄するほどではないわ」
はぁ、とため息を吐く。
「婚約破棄するほど、です。私たちはお嬢様の幸せが一番なのですから」
必死にそう言ってくれるハンナに嬉しくなりつつ、それでも私はゆっくりと首を左右に振った。
「この国では、結婚まで純潔であるべきだという女性側に対し男性側はむしろある程度の知識と経験は持っておくべきという風潮すらあるの」