身代わり婚約者との愛され結婚
“ベネディクトはその『ある程度』のレベルを超えているとは思うけれど”


「なら、借金はどうなのですか? それなら……!」
「それもダメ、まず金額が少なすぎるわ」

  
 ベネディクトがしている借金は、額だけみればそれなりに高額ではあるが公爵家からすれば痛くも痒くもない。
 
 それはベネディクトの実家である裕福なニークヴィスト侯爵家からしても些細な金額だった。


“カジノで借金を作ったけどニークヴィスト侯爵家が支払ってくれないから私との結婚を早めたかったのね”


 突然すぐにでも結婚を、なんて言い出した理由の答え合わせがあまりにもチープで呆れてしまう。

 
「どうせならもっと独創的でとんでもない理由だったら良かったのに」

 そうすれば、それを理由に婚約破棄を突き付けられたかもしれない。

 きっと遊ぶお金ももっと欲しかったからこそ、すぐに婚姻を結ぼうとしたのだろう。

 
 ――けれど、それだけだ。
 
 ニークヴィスト侯爵家がベネディクトの借金の肩代わりをしないのはお金がないからでも勘当したなどという理由でもない。

「あくまでも教育方針……」
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