身代わり婚約者との愛され結婚
 クックと喉を鳴らすベネディクトは、全く笑っていない目でじとりと私を見下ろしていた。

 その不気味な様子にゾワリと鳥肌がたつ。
 

「だからさ」
「や、やだ……、離し、離して……っ」

“どうしよう、ここの騒ぎは聞こえてないの!?”

 それなりに大きな声を出しているつもりだが、残念ながら騎士が駆けつけてくれる様子はなくて。

 
 
「お前の結婚も、ぶち壊してやるよ」
 
 耳元で囁かれた彼のその言葉に、ゾッと全身から血の気が引いた。

 
“目が通常じゃないわ……!”

 
 逃げなくては、と焦り必死に踏ん張るが、体格のいいベネディクトにヒールの私が勝てるはずもなく、ズルズルと庭園の更に奥へ引き摺られる。


「な、なによっ! 貴方のは自業自得じゃないっ」
「俺と婚約してんのにレヴィンといちゃついてたの知ってんだぞ、てめぇだって同罪だろ!」
「それは……ッ」


 ――それは、確かに私も考えが浅はかだった。

 ちゃんと破棄するまではと一線は越えず、最低限のルールは守ったつもりではいるが、それでも心が動いたことは真実で。

“この想いは、確かに罪だったのかもしれないけれど”

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