身代わり婚約者との愛され結婚
「必要であればいつでも聴取に応じますが、まずは彼女を休ませても?」

 私を抱き上げながら立ち上がったレヴィンが、ベネディクトを拘束した騎士と一緒に来ていた別の騎士に声をかける。

 彼らは私のドレスが破れていることで何かを察したのか、すぐに一礼してベネディクトを拘束したまま去っていった。

  
「俺たちも移動しましょう」

 レヴィンに抱き上げられたまま移動した私は、庭園の噴水の縁にそっと下ろされる。
 
 座った私の前に跪くようにしゃがんでいるレヴィンの顔は強張っていた。


「大丈夫……では、ありませんよね」
「レヴィンが来てくれたから、私はもう大丈夫よ」

 ふふ、と笑って見せるが表情が固いレヴィン。
 そんな顔も嫌いではないが、折角数ヶ月ぶりに会えたのだ。

 私はどうしても笑って欲しくて。


“来てくれたってことは、もう、いいのよね?”

 ニークヴィスト侯爵家とクラウリー伯爵家のやり取りはわからないが、それでもここにレヴィンがいるということは、何かしら両家に決着がついたのだとそう思った。

 なら。


「ずっと、会いたかったんだから」
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