身代わり婚約者との愛され結婚
「初めて見たオペラは、王城で婚約破棄が起きたわね」

 少し不安そうなレヴィンの頬に手を伸ばした私は、いつも右側だけかけられていた横髪を撫でる。
 ベネディクトから守るために走ったせいか、少し乱れ落ちていた髪をそっと耳にかけ直して。

 
「いつも私たち、オペラと反対のことが起きると思わない?」
「反対の?」

 王城での婚約破棄ではなく、王城でのプロポーズ。
 きっと悲恋を観ても、私たちはもう悲恋にはならないから。


「貴方のプロポーズを、ずっと待っておりました」



 レヴィンがかけてくれたコートで破れてしまったドレスを隠しながら会場へ戻る。

 折角の夜会だが、流石にこの姿ではいられない。

“それに、ベネディクトの件で事情も聞かれるだろうし”

 父に一言告げて帰ろうかと考え、レヴィンに付き添って貰いながらキョロキョロと見回していると、私が両親を見つけるより先にニークヴィスト侯爵が私たちに気がついた。

“!”

 かなり不快そうな表情をした侯爵が、私たちの方へズカズカと早歩きで近付いてくる。

「レヴィン」
「大丈夫ですよ、ティナ」
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