身代わり婚約者との愛され結婚
 その技術力や実績もあり、一目置かれていると言っても過言ではないクラウリー伯爵家。

 身分こそベネディクトが上だが決して侯爵家だからという理由だけで使いっぱしりになんて出来ないはずで、だからこそ『弱い』と口にする内容に心当たりがなかった。

“まさか腕っぷしの話じゃない……わよね?”

 そんな疑問すら頭に過った私だったのだが。


「王都に納品するには、必ずベネディクトの家……ニークヴィスト侯爵家の領地を通らなくてはならないんです」
「あっ」

 生花の寿命は短い。
 もちろん綺麗な状態を維持し長く花を楽しむことは出来るが、丁度咲き誇る寸前のタイミングで納品しようとすれば、それはかなり花の様子を見極めればならなくて。

 そしてそんな一瞬を見極めても、納品先までに距離があればあるほど花の調子は変わってしまうだろう。
 

“ベネディクトの家は土地の貸し出しや通行料の徴収をメインとしておりましたね”

 ニークヴィスト領をぐるりと迂回し王都に入るならば、立地的に三倍以上の時間がかかる。
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