身代わり婚約者との愛され結婚
「あら! もしかして新しい本の話?」

 特に目的なくぶらぶら街を散策しながらレヴィンと話す。
 
 今までどうして話さなかったのかしら? なんて思うほど彼との会話は楽しく弾み、クールで少し無愛想にも見えていたレヴィンが案外表情豊かであることに驚きつつ心が踊る。

“目的がない散策というのも楽しいものね”

 とりとめのない話をダラダラと重ねながら時に珍しいお菓子を、時に不思議な雑貨を見る。

 公爵家に来る行商人が見せてくれるものは全て一級品で、どこに出しても遜色ない素晴らしい逸品であることは間違いない。

 けれど、こうやってレヴィンと見て回る、庶民向けの品も何故だかキラキラと輝いて見える。
 それが不思議で仕方なく、つい辺りをキョロキョロと見渡して。

“あ”

 そんな時ふと目に飛び込んで来たのは男性向けの服飾店だった。

 飾られていたのは色とりどりのカフスボタン。
 おそらくこれも、公爵家で取り寄せるものと比べればとても安物なのだろうが……


“とっても綺麗だわ”

 それにどうしてだろう。
< 45 / 269 >

この作品をシェア

pagetop