身代わり婚約者との愛され結婚
 そして目の前で一緒にいる令嬢の腰……と思いきやするりと手のひらを滑らせたベネディクトが外だというのにゆっくりとお尻を揉んでいるその光景に腸が煮えくり返る。 

 外で破廉恥な行動に出た身代わりでない方の婚約者であるベネディクトは、私たちに見られているなんてこれっぽっちも気付かず、よりにもよってそのまま娼館やそういった目的の宿屋が並ぶ歓楽街へ消えて行った。


“確かにターンバル国では、女性に比べて男性の貞操観念はかなり薄いわ”

 むしろいつか迎える初夜の為に男性はある程度知識と経験を持つべき、という風潮すらあるターンバル国。

 対して令嬢側は、初夜まで純潔であることが当然とされている。

“け、れ、ど!”

 この約四年間、今回で47回目になるお茶会全部を娼婦かどこかのご令嬢との火遊びで来なかったのかと考えれば、あまりにも不公平過ぎではないのかという不満が私に芽生える。

 
“このまま私だけ未経験で、そしてそんな私のハジメテの夜をこの不誠実の塊としか思えないベネディクトと過ごすのかしら”


 イライラ、もやもや。
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