身代わり婚約者との愛され結婚
 部屋は想像よりかなり狭く、二人が並んで寝転ぶとギリギリなくらいの大きさのベッド一つしかなくて。

 そしてそのベッドにドンッとレヴィンを突き飛ばした私は、そのまま彼の上に馬乗りになるような形で座り、無理やり襟を掴んで唇を重ねた。


「な、なにして……!」

 突然の口付けに驚いたレヴィンはその紫の瞳を目一杯開き、手のひらをこちらに向けた自身の腕で自分の口を覆う。

 そんな彼の腕にはお構い無しに、向けられた手のひらに口付けると、分かりやすいくらいレヴィンの肩が跳ねた。

 
「今、この瞬間はベネディクトの身代わりだとしてもレヴィンが私の婚約者なのです」
「ティナ?」
「だから、私だって少しくらい……!」

 私だけ何も知らず真っ白でいるなんて不公平。
 だから、少しくらい私だって経験を積みたい。
 例えそれが、この約四年間ずっと蔑ろにされていたことに対する当て付けだとしても――


「……泣くほど、ベネディクトを……」
「え?」

 ぽつりと零すように呟いたレヴィンの言葉にぽかんとする。
 それと同時に、私の瞳からはらはらと涙が溢れていることを知った。

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