身代わり婚約者との愛され結婚
 何よりも、この姿の私を見たレヴィンがどんな反応をするのかがわからなくて冷や汗が滲んだ。


 もしレヴィンが本物の婚約者なら、きっとこんなに焦る必要なんてないのだろうが……

“レヴィンはあくまでもベネディクトの身代わり役をやってくれているだけなのに……!”

 どれだけ望んでも、どれだけ願っても私の婚約者はベネディクトであってレヴィンではないから。

 
「さ、もうすぐ約束の10分前ですよ。玄関に向かいましょう」
「で、でも、ハンナっ」
「さぁさぁ」

 楽しそうなハンナに背中を押されるようにして私室を出る。
 
 迫る時間、近付く玄関。
 流石にここまで来たら覚悟を決めるしかない。

“今日は『レヴィン』とのデートなんだからこれでいいのよ……!”


 必死で自分に言い聞かせながら玄関を開けると、こちらへ歩いてきていたレヴィンと丁度会った。

 
「あら、今日も時間に正確なのね」

 レヴィンが口を開く前に慌てて話題を振る。
 まずは心を落ち着けるために返事のしやすい当たり障りのない話から入ったつもり、だったのだが。

“?”
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