黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「あ、このお花は…」

「はい。ウィリアム様からです。王宮の庭園に咲いているミオ様のお気に入りのお花ですね」

「コロンとした丸い形で可愛いのよね。鈴蘭みたい」

「ミオ様がいらっしゃった世界にあったお花ですか?」

「うん。全然違う世界なのに、似たようなお花があるなんて不思議ね。花言葉は『幸せの再来』だったかしら」

「まぁ!素敵!お花に『言葉』があるのですか?」

「そうね。素敵ね。お花に色々な言葉がついていたわ。たくさんあるのよ」

「では!ミオ様のお名前にはサクラのお花の文字が使われているとお聞きしましたが、どのようなお言葉があるのですか?」

「桜の花言葉? 確か『精神美』や『優美な女性』とかいろいろあるんだけど…」

「ミオ様にぴったりですわ!」

「あとは『私を忘れないで』だったかしら」

「え、どうしてそのような?」

「この王国では桜は一年中咲いているけど、私のいた世界の桜は開花してから10日ほどで散って、また翌年まで花は見れなくなるのよ。散ってしまう儚い花の印象が『忘れないで』になっているのかしらね」

「そうなのですか…」

私はまだ治らない頬の傷に手を添える。

ウィル様に会う勇気はまだない。
でも私のことを忘れないでほしい。
そんな気持ちが入り交じりながら、風に乗って遠くまで流れゆく桜の花びらを見ていた。



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