黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「ウィル様ッ!!」

震える両手でウィル様の身体を抱きしめる。

『信じています』

信じる…。
そういえば志乃様の手紙にもこの王国の人達を信じてと書いてあった。

私は前世で両親に愛されなかった。
お互いに不倫をした挙げ句に離婚し、どちらも私を引き取ることはしなかった。
そのことで自分にも自信が持てず、男性恐怖症になってからは心から人を好きになることもできないまま過ごしていた。

身体を壊して持病が再発し、治る見込みがないと分かった時にはこんな人生で終わるのかと絶望した。
誰かに愛される喜びを知りたいと思った。
母の結婚式の時の写真に写っていた若かりし母の笑顔。
あんな風に、幸せそうな微笑みを一度でもしてみたかったと涙が溢れ、いつまでも泣き続けた。

だから私はあのウェディングドレスを着ていたのね。
幸せの証でもあるウェディングドレスを。

そしてきっとウィル様に会う為にこの世界に降りて来たのよ。
次の人生であなたと愛し合う為に。
こんなにも私を愛してくれるあなたと出逢い、愛し合う為に…。


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