黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「あなたと私が好きな桜の花は今日も綺麗に咲いていますよ」

桜の大木の近くの長椅子に座り、軽やかに舞う桜の花びらを眺める。

「あなたの目覚めを私はいつまででも待ち続けます」

それはいつまで…?
私が生きている間にまた目を覚ましたあなたに会えるのだろうか?
心が潰されるような不安に覆われる時がある。

どうしようもなくあなたが恋しい!

どうか…どうか…もう一度あなたを抱きしめさせてほしい!
私の命が果てる前に…ッ!

「……実桜!」


植物が黒く枯れる症状はあの薬品が関係していて、ダニエル殿下はエーデル王国から海を渡った先にある国でその症状を見たことがあったそうだ。
今では使用禁止になっている薬品が出回っていることを、その国の役人達は知らなかった。
それはシャレー侯爵夫人と不倫関係にあった外交官が揉み消していたと明るみになった。



< 251 / 257 >

この作品をシェア

pagetop