黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「ウィリアム殿下!少々お話を!」

私が執務室から出るのを待ち構えていたシャレー侯爵。
通路から声を掛けて来たが、近づき過ぎないように護衛であるリックが制止する。

「あの件でしたらすでにお断りしたはずです。シャレー侯爵」

立ち止まり、鋭い瞳でチラリと声の主を見る。

「いや、その……」

「お父様!」

通路を曲がった方角から声が聞こえた。

「フ、フローレンス!」

焦ったように自分の娘の名前を呼び、冷や汗が流れている。

「まぁ!殿下とご一緒でしたとは大変失礼いたしました!ウィリアム殿下、お久し振りでございます」

腰を落として綺麗なお辞儀をするエーデル王国の外務大臣を勤めるシャレー侯爵の娘フローレンスは、切れ長の茶色の瞳を恥ずかしそうに伏せ、頬を赤く染めながら挨拶をした。

「お久し振りですね。フローレンス嬢」

うっとりとした表情で見つめられ、自身の赤色の髪と同じように、赤く頬を染めたフローレンスから視線を反らした。
立ち去ろうとする私にシャレー侯爵が声を掛けて引き止める。

「で、殿下!この後よろしければお話を」

「…以前お伝えした通りです。では」

「あ…」

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