黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「父上、失礼いたします」

父上の執務室の扉を叩く。

「ああ、ウィリアム。ミオ様のご様子はどうだ?」

「10年間眠られていた分、歩くだけでも身体に負担が掛かっていたようですが、自らリハビリに懸命に励んでおられます。この王国での暮らしにも少しずつ慣れてきたご様子です。そしてかなり真面目な方でこの王国や世界のことを勉強されています」

「そうか。長い眠りから目覚めて見知らぬ土地での生活だ。不安もあるだろう。しっかりと支えて差し上げるのだぞ、ウィリアム」

「もちろんです」

我が子の力強い瞳を見て頷く国王。

「ミオ様はまだお気づきではないようですが、素晴らしい能力をお持ちの聖女様です」

「あの時のだな」

「ええ」

「各方面から報告も来ている。ところで、ミオ様とはどういうお方なのだ? 王妃やソフィーからも話を聞いているが、私はまだ少ししかお会いしていないしな」

「とても純粋で素直な可愛らしいお方です。それに聖女の能力もミオ様のお心のように、とても優しいお力でした」

「ふっ。そうか。目覚められたミオ様でも変わりないということだな。ではこれは…」

国王はミオのことを語る息子の表情を見て、微笑みながら書類の束に目を向ける。

「お断りしてください」

自分の執務室でも見ていた物と同じ縁談に関する書類の山。
うんざりした顔で返事をする。

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