黒髪の眠りの聖女は永遠の愛を誓う
「歴代の聖女様達のお力と我が王国にはない知識のお陰で衰えることなく繁栄し続けるこのエーデル王国。私の時も大変だったが、王族に生まれたからには避けて通れぬものだ」

「…はい」

「最近は特に多いな。まぁ、早くしろよ。期限は半年だ」

「またそれですか。分かりましたよ。私だけではなく、ソフィー宛にもあるでしょう?」

「何を言っている!可愛いソフィーはいつまでも私達とこの王宮で一緒にいるんだッ!」

「……そうですか。まぁ、王宮の近くにいることにはなると思いますが」

「何だ?」

「いえ」

父上のように、ソフィーも私と同じく諦めは悪いですよと思いながら、後ろに控える側近のハリーを見る。

「この後はアイト国のダニエル殿下との会談か。よろしく頼むぞ。私はこの後は各大臣達と会議が続く。あぁ、忙しい。もっと仕事を引き継いでくれ。愛しのグレースに早く会いたい…」

「今でもできる限り引き継いでいるとは思いますが。しかし、私の最優先事項はミオ様です。では失礼いたします」

扉の前で足を止めて振り向く。

「どうした、ウィリアム?」

「当然ミオ様宛の縁談など…お分かりですよね? あと、必ず私に知らせてくださいね」

「お、おお…。もちろんだ」

父上に釘を差してから執務室を出て静かな通路を歩く。

「それにしても、あれが数年先の自分か…」

私もミオ様に会いたくなってきたなと思いながらダニエル殿下との会談へと向かった。


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