14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 顔の横で両手首を掴まれたまま壁に押し付けられて吐き気がこみ上げてきた。

 二年前の出来事がオーバーラップして、脚が震えてくる。

「こ、こんなことして、しょ、職を失いたいんですか?」

「私が何かしたかな? こうして話をしているだけだ」

「押さえつけているなんて、セクハラじゃないですか! 離してください!」

 必死に冷静になろうとしていたが、顔がニ十センチほど近づけられるとパニックに陥りそうで、鼓動が嫌な音を打ち鳴らす。

「私は部長だ。君がとやかく言ったところで会社は相手しないだろう。それよりも私とホテルへ行って小遣いをもらった方が良
いんじゃないか?」

 腕や脚をバタつかせても体格のいい男には敵わない。

「離して!」

「しーっ、大声を出しても君の特にはならないよ」

 だんだんと近づけられる顔に、必死になって顔をそむけて暴れる。

「本当にかわいいな。私とキスをしたらその先もしたくなる」

「やめて! 離して!」

 そのときドアがドンドンドンと乱暴に廊下側から叩かれた。

「中に誰かいるのか!? ドアを開けろ!」

 大和さんの声だった。

 なぜ彼が五階に……?

 男性の声に手首を締めつけていた西島部長の手が私の口を塞ぐ。

「いいな? この事を言ったら会社を辞めることになるぞ。どうせ相手にされない」

 きつい表情で脅し文句を口にした西島部長はドアへ向かう。その間もドアが乱暴に叩かれている。
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