14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 ようやく離されてヘナヘナと座り込みそうになる。

 西島部長がドアの鍵を開けた瞬時、外側から開けられて大和さんが硬い表情で入って来た。

 西島部長は彼の姿に驚いているみたいだが、表情には出さずに頭を下げる。

「これは忽那専務。忽那専務がドアを叩いてくださったおかげで、鍵が直りましたよ」

 サラッと嘘を吐く西島部長に大和さんは状況を把握しようと私を見遣る。
 私と忽那専務が知り合いだとは思ってもみないのだろう。

「本当か?」

 先ほどの脅し文句で絶対に話されないと思っているのか、西島部長は余裕の顔でいる。

「……嘘です。私の両手首を掴んで壁に押さえつけて、ホテルに誘いました」

 訴える私に西島部長は慌てて否定する。

「バカな! 鍵が開かなくなっただけだろう?」

「私は鍵なんてかけていません。あなたがあとから入って来て鍵をかけ、いやらしく誘ったんじゃないですか」

 反論すると、西島部長は首を左右に振りながら呆れた声を上げる。

「忽那専務、彼女は以前から私を誘ってきたんです。さっきもこのあとホテルへ行こうと。私は妻帯者ですよ。不倫を持ちかけ
るなどけしからん社員だ!」

 二年前、どんなに訴えても信じてもらえなかった記憶が蘇る。

 あのときもセクハラした課長は、たくみに嘘を吐いて私が勝手に被害妄想しているのだと言い、上層部は信じたのだ。
 いくら課長の行動を訴えても無理だった。
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