14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 そのことを思い出して、震えてくる手をギュッと握る。
 大和さんは……信じてくれる?

 そのとき、大和は手のひらで壁を強く叩いた。その音は激しく壁が壊れるのではないかと思ったほどだ。

「西島部長、この件は重大です。あなたは彼女を傷つけた」

 大和さんの言葉に心の底から安堵する。
 彼は私を信じてくれたのだ。

「この女の言い分は嘘だ!」

「やめてくださいと聞いた社員がいる」

 西島部長は必死の形相になって、大和さんに詰め寄る。

「なんてことを! 彼女は私を困らせるために叫んだんだ。忽那専務は私よりも一介の社員の言葉を信用するんですか!?」

「認めないのであれば警察を呼びましょう」

 ポケットからスマホを出す大和さんに、嘘を重ねていた西島部長の表情がサッと変わる。

「ま、待ってください。私たちはふざけていただけです。警察沙汰とは大げさだ」

「ふざけていただけ? 大げさ?」

 美形が憤怒すると、背筋に寒気が走るほど冷たく見える。

「紬希」

「つ、紬希? 彼女をご存じなんですか!?」

 突然、一介の女子社員の名前を専務取締役が呼んだので、西島部長は口から泡を吹き出しそうなほど青ざめる。

 彼は私の横へ来て、手を持ち上げられた。その手つきは信じられないほど優しい。
 大和さんは私の右手首から左手首を見て、そっと撫でられる。

「赤くなっている。大丈夫か? 痛みは?」

「平気です」
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