14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「西島さん、処分を決めるまで自宅待機していてください」

 先ほどまで大和さんは〝西島部長〟と呼んでいたが、〝さん〟付けに変わった。忽那専務の考えを西島部長は悟ったようで、肩をがっくり落とす。

「魔がさしたではすまないんですよ。どれだけ彼女を傷つけたと?」

 大和さんは二年前私の心に傷を負ったことを知っているので、容赦なく言い放つ。

「なにとぞ処分は――」

「社員が見ているのに、なかったように仕事が出来るんですか?」

 ハッとして廊下へ顔を向けると、数人の社員がいた。もちろん顔見知りだ。
 西島部長は黙ったままその場に立ち尽くしていた。

「行こう」

 大和さんに手を引かれ廊下に出る。社員たちの目の前で手を繋がれている。これでは噂が広がってしまう。
 彼の手から手を引き抜こうとするが離されない。

「く、忽那専務」

 小さな声で呼んだ瞬間、彼が立ち止まり社員たちに向かって口を開く。

「君たち、このことは話を広げないように。あの男はかまわないが、彼女が居づらくなる。君、今の動画を私に送ったら削除してくれ」

 彼は近くにいたスマホを持つ男性社員に名刺を渡す。

 西島部長のセクハラよりも、専務の立場で女性社員の手を握っていることが噂になりそうだ。
 ここにいる人たちが大和さんを専務取締役だと、西島部長との会話で知ったはずだから。

 彼らから離れたところで、大きく息をつく。
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