14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 西島部長や野次馬たちの目の届かないところに来て、ようやく苦しかった気持ちが楽になった。

 だが、まだ心臓のバクバクと震えは止まらない。

「無理するなよ。人目が気にならなければ抱き上げて連れて行くぞ」

「き、気になります。あの、どうしてここに……?」

「話はあとでする。もう終わりなんだろう? 荷物を取って来て。エレベーター前で待っている」

 今日帰国したばかりの大和さんがなぜ現れたのか気になるが、あとで話をしてくれると言っていたので、コクッと頷く。

 彼から離れ総務課のオフィスに入ってデスクへ行く。
 愛華さんの姿はなかった。

「お先に失礼します」と、声をかけてからバッグを手に待ってくれている大和さんの元へ向かう。

「忽那専務」

 スマホをいじっていた大和さんが顔を上げて、エレベーターを呼ぶボタンを押す。

「さっきはスルーしたが、忽那専務はやめろよ」

「ですが、会社なので」

 エレベーターが開き乗り込み、一階へ下りる。

 セキュリティのほうへ向かおうとするが、「こっちだ」と奥の重役階へのエレベーターを示された。

「え? 私が重役階へ?」

「俺の荷物があるし。行くぞ」

 私のバッグが彼に引き取られエレベーターに乗り込ませて、重役フロアのある二十五階へいっきに上がっていく。
 バッグを持ってくれるなんて本当の恋人みたい……。

 大和さんは到着するまで口を開かなかった。
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