14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 すると、彼女は脱力したかのように前かがみだった体を元に戻して安どのため息を吐いた。

「紬希、恩に切るわ。絶対にこの埋め合わせはするから」

「ううん。埋め合わせなんていいわ。無理難題だけど、やってみる」

「心からうれしいわ。ありがとう! 紬希」

 顔がぱぁーっと明るくなったあやめは心配事から解き放たれたのか、グアバジュースをゴクッと飲んでから、ガーリックシュリンプに手を伸ばした。

 食事をしながら、明日の場所や、どんな風に断られるように仕向ければいいのかを打ち合わせ、プリンを二個食べ、あやめが帰り支度を始めたのは二十三時を回っていた。

「じゃあ、明日はよろしくね。終わったら連絡して」

「わかったわ。気をつけて帰ってね」

「はーい」

 あやめは明るい表情でドアを開けて廊下に出る。

 ドアからエレベーターに向かう彼女の背中を見送り、乗り込むときに互いに手を振ってあやめの姿は見えなくなった。

「ふぅ」と、ため息を漏らして、ドアを閉めると鍵をかけた。

 とんでもないことを引き受けてしまったけれど、ミッションは嫌われればいいのだ。

 高飛車な態度なんて出来るかどうかわからないが、あやめのためだ。

「やるしかない!」

 両手に拳を作って自分を奮い立たせ、入浴の用意を始めた。
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