14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 名前を呼ばれてドキッと心臓が跳ねる。その分では男性秘書に話をしていそうだ。

 それでも仕事中なので、きっちりした対応をしなければ。

「ありがとうございます。いただきます」

 そんな私に大和さんは笑みを漏らす。

「西島の件だが、今まで悪質に思われない程度に女性社員に触れる行為をしていた。触れられた方も紬希のようなことをされたわけではないから上司への報告はしていなかったと」

 愛華さんの話と同じだった。

「……私が西島部長を陥れたみたいになってしまいますね」

 給湯室のドアの鍵が締められただけで、中で起こったことは私の証言しかないのだ。
 ハニートラップのように思われても仕方がなくなる。

「大丈夫だ。以前経理課にいて、今年上海支社に異動したチャンさんを覚えているか?」

「はい。家族が上海に戻るので、異動願を出して受理された綺麗な女性です。愛華さんと入社が同じなので現在二十四歳ですね」

「ああ。彼女に連絡を取ったら、チャンさんは西島から執拗にセクハラを受けていたと話してくれた。しつこい誘いに仕方なく食事をしたあと、タクシーで送ってもらうはずが、ホテルに連れて行かれそうになったと言っていた」

 ひどい内容に顔が歪む。

「誰にも話さなかったのでしょうか……?」

「ああ。西島に脅されたそうだ。紬希みたいにな。しかも直属の上司が西島だ。社会経験も浅く、若い彼女だから黙るしかなかったようだ」
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