14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 トレンチコートを脱いだ彼は、クリーム色のセーターとブラウンのチノパン姿だけれど、挨拶の際にはスーツに着替えるのでキャリーケースを持ってきている。

 私も今は白いカットソーにベージュのデニム地のジャンパースカートを身に着けているが、数日前にデパートで購入した薄いピンク地にグレーのラインの入ったツイードのツーピースに着替えるつもりだ。

 普段はデパートでは買わないけれど、今後大和さんのご両親に挨拶に伺うときにも着られるので思い切ったツイードのツーピースだ。

「紬希、昼飯何を食べたい?」

「んー、大阪って言ったら、たこ焼きや串カツがご当地グルメよね。大阪には年に一度か二度しか帰らないので、観光したのも数回でよくわかっていないんです」

「じゃあ、行き当たりばったりで見つけたら入ろう」

 大和さんは決まったとばかりにスマホをポケットにしまう。

「お母さんが夕食を用意しているので、おなかいっぱい食べちゃだめですからね」

「それは紬希だろう?」と、笑ってから彼は口を開く。

「それはそうと、今夜紬希は実家に泊っていけよ」

 彼は機内サービスのコーヒーを飲む。

「大和さんだけホテルに帰るの?」

「そのほうがいい。頻繁に帰っているのならいいかなと思うが、年に一度か二度しか会っていないのなら、積もる話があるだろう? ご両親も寂しいはずだ。明日の午後に迎えに行く」
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