14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる


 大和さんとゆっくり時間を過ごせない日々で、あっという間に木曜日になってしまった。

 明日の朝、大和さんはニューヨークに向けて経つ。

「おつかれさまでした。お先に失礼します」

 誰ともなく挨拶をして総務課を出る。
 愛華さんは少し前に退勤している。
 エレベーターで一階に下りてセキュリティゲートを通る。

 大和さんは今晩二十一時頃に帰宅する約束をしているので、お鍋の準備のためにスーパーマーケットへ寄る予定になっている。
 どんなお鍋が良いかな。水炊き? すき焼き? キムチ鍋? どれも捨てがたいわね。

 そんなことを考えながら、社屋のエントランスに向かっているとき、突然女性が目の前に立った。

「秋葉紬希さん?」

 目鼻立ちが完璧な黄金比率の美人で、スタイルも良い女性だ。そんな人が私を知っている……?

「は、はい……」

 見知らぬ女性に困惑するが、どこかで見たことがある。

「優里亜(ゆりあ)・ジャクリーンです」

 あ、重役フロアのエレベーターから下りた人だわ。

「話したいことがあります」

「私に……話が……? いったい何の話でしょうか?」

 彼女が忽那社長を知っていることから嫌な予感に襲われる。

「ここでは話せません。隣のコーヒーショップへ行きましょう」

「でも、何の――」
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