14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「まずはシャンパンで乾杯しましょうか。車で来ているので私はノンアルコールですが、良ければアルコールの入ったシャンパンを頼みますが?」

 高飛車によ。
 脚を組んでゆっくり口を開く。

「そうね~、ひとりで酔いたくないからやめておくわ」

 黒縁眼鏡の縁に触れて、軽く上げて微笑む。

「わかりました。では、ノンアルコールのシャンパンにしましょう」

 彼はまだテーブルの近くに立っていたスタッフにオーダーした。

 丁寧にスタッフに頼む姿は上品で貴公子そのものだ。

 少し癖があるのか、軽くウエーブされた黒髪は艶やかで、顔のパーツは黄金比のように整っていて誰もが振り返って見直すほどの美麗な人だ。

 あやめ、テツヤさんより比較にならないくらい素敵なんですけど……。

 しかもあやめの家よりもセレブだと言っていたから、どこぞの御曹司なのだろう。そこのところを聞くのを忘れていたわ。

「アレルギーなどはございますか?」

 スタッフに丁寧に尋ねられ、瞬時「ないです」といつもの自分が出そうになったが……。

「ないわ」

 見合い相手も「ないです」と答え、スタッフは「かしこまりました」と、頭を下げて個室から出て行った。
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