14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 お客様用に買い足したスリッパを履いてもらい、部屋の中へ歩を進める。

「ラグジュアリーな低層階マンション、素敵だわ。ベランダに……え? あれはジャグジー? テツヤのアパートと雲泥の差だわ」

 そう言いつつも、羨ましそうな感じではなく、あやめにとってのテツヤさんの家はお城なのだろうと思う。

「さすが御曹司ね」

 御曹司だからと言って、簡単に住めるわけではなく、大和さんの天才的な投資のおかげだ。

「で、忽那氏はまだニューヨークなの?」

「そうなの。仕事が大変そうで帰国の目処はたっていないって」

「まあ仕方ないわね。紬希は寂しいと思うけど。あ、グラタン作ってくれるって言ってたでしょう? 白ワイン買ってきちゃったわ」

「ありがとう。グラス用意するね」

 あやめをダイニングテーブルの席に座らせると、キッチンの中へ入りグラスを棚から出したところで、オーブンが鳴った。
 久しぶりにあやめと話が出来て、大和さんの留守の寂しさから少し気がまぎれたが、帰ってしまうと空虚感に襲われた。


 会社のお正月休暇は十二月二十八日からで、もう一週間前になっていた。
 大和さんからは休暇になるまでには契約が終わるからと連絡は入っている。あと少しのようでホッとした。

 もうすぐ会える。

 木曜日の朝、目を覚まして横になりながらスマホを開く。毎朝、大和さんからのメッセージ確認をするのは日課になっている。

 え……?
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