14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
翌日、午前中授業のあと、公園で待ち合わせた紬希は自分で作ったというおにぎりを俺に三つ渡してくれた。
彼女の分は二つ。
中身は梅干しとシャケ、昆布だった。紬希は梅干しが苦手で、シャケと昆布。
俺はお礼に自販機でペットボトルの冷えたお茶を二つ買って、ベンチで並んで食べた。
「コンビニのおにぎりよりおいしいよ」
頻繁に食べているコンビニのおにぎりは味気ないが、紬希のおにぎりは温かみがあった。
「良かった」
食べ終えてから、俺は八月に入ってからニューヨークへ行く話をした。出発は二週間後だ。
紬希はショックを受けたみたいな顔になったが、すぐに普段通りの明るい笑顔になった。
「向こうの学校に通うなんてすごいね。大和君ならあっという間に英語がペラペラになりそう」
あと数日で夏休みになる、
彼女は北海道の祖父母のところへ長期行く予定だった。
「でも、絶対にお別れを言いに戻るから」
俺たちはニューヨークへ行く前日、朝から遊園地へ行く約束をして公園で待ち合わせることになった。
そして、俺がニューヨークへ旅立つ前日、待ち合わせていた公園に彼女は現れなかった。
その頃、俺も紬希もスマホは持っていなかった。