14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「あ!」

 スマホが取られて電源を切ってから、戻された。

「しつこい女だな」

「友達思いなんです」

「それなら、君をよこさないだろう?」

 とどのつまり、たしかに忽那さんの言い分が合っているのだ。

 でも、困っているあやめを手伝ってあげたかったし、「恋人のフリをしろ」なんて突きつけられているけれど、それくらいはたいしたことじゃないと思い始めていた。

「で、では、連絡先を交換したことですし、ここからなら帰れますのでここで失礼いたします」

 電源の切られたスマホをバッグの中に入れて、忽那さんに頭を下げる。

「まだだ。送ると言っただろう? 君の住まいを知らなくては偽物の恋人にはならないだろう?」

「……わかりました。では、お願いします」

 初対面の男性に家を知られたくないと普通は思うはずだけど、彼はわが社の専務取締役なので、警戒心は薄れている。

 人事の書類を見ればすぐにわかってしまうし。
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