14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 マンションを出たところで、道路に止まっている忽那さんの車を見つけた。

 車内から私を認めた彼は往来する車に気をつけて、車外へ出て近づいて来た。

「早いですね」

 そう言えば、忽那さんの住まいは聞いていなかった。

「まあな。乗って」

 ちょうどガードレールが切れたところに止められていて、すんなりと助手席におさまる。

 忽那さんが運転席に戻って来て、言葉も交わさないまま車が動き出す。

「どちらへ……?」

「着いたらわかる」

 先に教えてくれてもいいのに……。

「日曜日だから、到着まで三十分くらいかかるはずだ」

「はぁ……」

 行先を知らないのだから、頷くくらいの反応しかできない。

「宮崎あやめと話したのか?」

「あ、はい。それで、忽那さんの方から宮崎家に断りの連絡を入れてくれるか心配していました」

「そのことで考えたんだが、今は彼女の家には断りを入れない方が良いと思うんだ」

「え……? どうしてですか?」

「彼女には好きな男がいるんだろう? この縁談がなくなったとしたら、彼女は再び見合い話がくるんじゃないか? 昨晩両親に好きな人がいると話したが、宮崎家には俺から連絡すると言ってある」

「なるほど……。そうですね。忽那さんとの縁談がなくなっても他にくるかもしれない。またあやめの心配事が出てきますね」

「紬希もまた彼女の代わりをすることになるかもしれない」

「一理ありますね」

 あやめのことだから、また代わりにお見合いの場へ行ってほしいと頼まれかねない。

「あとであやめに聞いてみます」

 やっぱり忽那さんは頭が回る。
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