14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「あ、絶叫系は大丈夫?」

「わかりません。遊園地で遊んだことがないんです」

 私の手を取り半歩先を歩いていた忽那さんが突として立ち止まり振り返る。

「遊園地に来たことがない?」

「はい……そんなにびっくりすることですか?」

「いや、めずらしいなと思って。じゃあ、あれを見て怖いと思う?」

 彼は大きな船が前後に揺れている乗り物を指差す。

 乗っている人たちの「きゃー」と、悲鳴が聞こえてくる。

「怖いんでしょうか……?」

 乗ったことがないので、良くわからない。あの「きゃー」の声は楽しんでいるのかもしれないと解釈する。

「それなら乗ってみればわかる」

 忽那さんは並んでいる列の最後尾に私を連れて行く。

 アトラクションは大人数が乗れるので、少し待っただけでスタッフに席へ案内された。

 ちょうど真ん中の列に座って、初めての乗り物にドキドキしているうちに、動き出した。

 急上昇してうしろ向きに急降下する。

 浮遊感に戸惑ったけれど、それほど怖くない。

 隣の忽那さんは楽しそうに笑っていた。

 二分足らずのアトラクションを降りて、感想を聞かれる。

「なんか、脳みそをその場に置いて行って、それから戻るみたいな感覚でした」

「脳みそ? おもしろいな。でもわかる気がする」

 彼はアハハを豪快に笑った。
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