14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「遊園地、おもしろいですね。忽那さん、次はどれに乗りますか?」

「忽那さんはやめて。恋人に見えないし、聞かれたら疑われる」

「あ……。で、でも、本当にご両親はこんなところに人をやって確認させるんですか?」

 人々で賑わっている辺りへ視線を動かす。

「おそらく義父の秘書がどこかで見ている。俺のことは大和と呼んで」

 大和……そうだ。彼の名前は〝大和〟。

 懐かしい、淡い恋心を抱いた人の名前だ。

 忽那さんは彼じゃない。大和なんて名前はあの頃、子供につける人気の名前でクラスメイトにも数人いたし。

「専務取締役のことを呼び捨てに出来ません」

「会社なんてほとんど関りがないのに? それよりも俺たちは恋人契約をしているんだから、本物らしく見せないとな」

「こ、恋人契約? 恋人のフリです」

 恋人のフリから恋人契約に変わっていて、目を丸くさせる。

「恋人契約も恋人のフリも似たようなもんだろう? 俺のことは大和だからな」

 屈託ない笑顔を向けられて、心臓がドクッと跳ねる。

「で、では……大和さんで」

「〝さん〟付けか。まあいいか。じゃあ次行こう。ひとつ乗ったらアイスやってやるよ」

 手を握られ、次のアトラクションへ向かう。

 彼は遊園地を楽しむ子供みたい。

 忽那さん……大和のペースにどんどん巻き込まれていく。
< 48 / 208 >

この作品をシェア

pagetop