14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「お待たせ」

 大和さんがアイスとアイスコーヒーを持って戻って来た。

「ありがとうございます」

 ラムレーズンのアイスクリームを受け取り、対面ではなく隣に座ったお礼を言う。

 ペロッとアイスクリームを舐めると、ラムの味が口の中に広がり頬を緩ませる。

「うまい?」

「おいしいです。甘いのが好きじゃないなんてもったいないですね」

 彼は笑ってアイスコーヒーを口へ運ぶ。

「ところで、見張り役の人――」

「しっ」

 カップをテーブルの上に置いた大地さんは私の方へ体を傾ける。

「うしろの新聞を広げている男がそうだ」

「え?」

 いつの間にか監視されていたのかと驚いて、うしろを向こうとしたがふいに肩に大地さんの腕が回る。

「何気ない素振りで見ろよ」

「あ、はい」

 言われた通りアイスクリームを舐めながらうしろへ顔を向けた。テーブルが二個ほど先に新聞を広げている男性がいた。

 まさかデートを確認する親なんて……と、信じていなかったが、家族連れが多い中、テーブルにひとりでいるなんておかしい。

「父の秘書だ」

「お父様は切実に大和さんに結婚してほしいと思っているんですね」

 本当に騙してしまっていいのか、気持ちが揺れる。でも、あやめのためにもこのまま恋人のフリをして、その間に大和さんが愛せる女性と出会えばいいのだ。

 彼のような人なら、社内でも、仕事関係でも、そして交友関係からでも素敵な女性が現れるに違いない。

「ああ。そうなんだ。食べ終わったら……」

 大和さんはジーンズのポケットに入っていた園内マップをテーブルの上に広げる。

「これに乗りに行こう」

 ジェットコースタ―的なアトラクションのようだ。

「いいですね。行きましょう。食べちゃいますね」
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