14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
アイスクリームを食べ終え、大和さんもカップが空になると立ち上がる。
そこを去るとき、背後へ顔を向けたが新聞を読んでいた男性はいなくなっていた。
手を繋ぎながら歩き、混雑してきた園内を進み目当てのアトラクション乗り場に到着した。
若い男女が並んでいて、二十分ほど待って順番が来た。その間、大和さんに何も知らないのではおかしいから君の家族の話を教えてほしいと言われて、軽く話した。
ジェットコースターの席に座り、シートベルトを係員チェックする順番を待つ。
どんな乗り物なのかわからないので、ドキドキしてくる。
そのとき、大和さんに呼ばれる。
「紬希、こっちを向いて」
言われるままに彼の方へ顔を向けると、黒縁眼鏡が外された。
「あ……」
「飛んだら危ないから俺が持ってる」
大和さんは胸ポケットに眼鏡を入れてしまった。
「眼鏡の人はいるかと」
「君のは伊達だろ」