14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
 そこへ係員がシートベルトをチェックしにやって来て、話の続きをする間もなくジェットコースターは動き始めた。

 先ほどの船のアトラクションとは違う動きで、かなり高い所から急降下した。ギュッと体に力が入り水面が間近に……と思っていたら、バシャンと水しぶきが全身に降りかかった。

 それほど水はかからないだろうと高を括っていたのに、ジェットコースターから降りると髪の毛から服までかなり濡れていてびっくりした。

「結構濡れちゃったな」

 大和さんも頭から結構水がかかったみたいだ。

「でも楽しかったです」

 にっこり笑顔を向けると、彼は一瞬切れ長の目を大きくさせてから口元を緩ませる。

「良かった。俺もだ」

 そう言って、腕時計へ視線を落とす。

「もう一時を回っていたのか。ここを出てランチにしよう」

 再び手を繋がれて出口へ向かう。

 この人はごく普通に手を握るのね。恋愛経験がないけれど、あまりにも自然で、手を握られるのが当たり前みたいな感覚になっていく。



 連れてこられたのは、隣接するショッピングモールで、大和さんは大手の衣類量販店に入って行く。

「ここで買って着替えよう」

「着替えなくても、すぐ乾くと思いますが」
< 52 / 208 >

この作品をシェア

pagetop