14年分の想いで、極上一途な御曹司は私を囲い愛でる
「これからランチを食べるのに濡れていたら気持ち悪いだろう? まだエアコンも入っているだろうし、風邪を引いてしまうかもしれない」

 強引に店の中へ歩を進めて、私にどれがいいか尋ねる。

 あたりを見回して、黒の半袖のAラインのワンピースが掛けられている前へ行く。

「それもいいが……こっちの方が良い」

 隣にあった同じデザインのレモンイエローの方を示す。

「きっとワードローブには似たような色ばかりなんじゃないか?」

 たしかに私のクローゼットの中には明るい色味の服はない。

「同じような服なんてもったいないだろ。これに決めよう。俺のシャツを選んでくれないか?」

「え? あ!」

 それでも黒いワンピースが良いと意思表示する前に、大和さんはレモンイエローのワンピースを手に取って、男性売り場へ向かう。

 ま、いっか……カジュアルすぎるから通勤着にはならないし。

 男性のシャツ売り場へやって来ると、「選んで」と言われる。

「私が選んでいいんですか? 派手な色を選んじゃうかもしれないですよ?」

 黒じゃなくてレモンイエローのワンピースを選んだ仕返しにと、ニコッと笑う。

「俺、何を着ても似合うから好きにして」

 まったく、彼は自分の魅力をちゃんと自覚しているのね。

「わかりました。では選ばせていただきます」

 Tシャツや襟付きのシャツを見ていく。

 どーしようかな……。

 彼は百八十五センチはありそうで、モデル張りのスタイルだから、何を着ても似合うだろう。
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